アームチェア・フィッシャーマン

CategoryつりDeGoGo!
部屋にいて戸外のあれこれを思い描く釣師ことをこのように呼びます。
最近めっきり釣りに行かなく(行けなく?!)なったので
雨の日の夜半に思い立つとハイボールなんかをチビチビやりながら釣り随筆
の最高峰と呼ばれているアイザック・ウォルトンの「釣魚大全」(1653年初版)や
(当時は聖書の次に読まれている書物と言われていたそうです)
開高大兄の「フィッシュ・オン」(1974年初版、新潮社)などを斜め読みして
ゴソゴソとタックルボックスからプラグ(疑似餌)を出しては眺めてみたり、
ABUのリール(スウェーデンの釣具ブランド)を分解手入れしたりしながら
初春の芦ノ湖の水の冷たさや夏の夕暮れ時、霞ヶ浦水系河川のねっとりした
空気に思いをはせたりしています。

先日の雨の夜ふと書架の奥から「新装版・雨の日の釣師のために」
(1991年初版、TBSブリタニカ D&G・パウナル/開高健 編)
と題された釣文学の傑作選(35作品)を出してきてパラパラ。
中でもアーネスト・へミングウェイの短編「二つの心臓の大川」は
35作品中でも自身の心に響く作品です。

二つの心臓、ツーハーデッドとは生と死を意味しています。
1919年、第一次世界大戦で負傷し帰国したヘミングウェイが友人と
1週間の釣行に出かけたことが物語のモデルになっている作品で
主人公の「ニック」はもちろんへミングウェイ自身だと思われます。

1部と2部に分かれていますが1部で川辺に翌日の釣りに備えて
キャンプをはり、2部では翌日の釣りの描写という構成です。

1部ではニックの野営の様子が詳しく表現されていています。
『豆とスパゲティがあたたまってきた。ニックはそれを掻きまぜる。次第に
泡が立ち始め、小さなあぶくがゆっくり表面に上がってくる。
うまそうな匂いがしてきた。ニックはトマトケチャップの壜を取り出し、
パンを四枚切った。小さなあぶくの立ち方が次第に早くなってきた。ニックは
焚き火のそばに座り込んでフライパンを下ろした。そして、中味を半分ばかり
ブリキの皿に移した。それは皿の中でゆっくり広がった。』(本文抜粋)

戦場での緊張感から解放されたへミングウェイ自身の心情が良く出ている
描写だと思います。同じ豆とスパゲティの缶詰を野営地で温めるにしても
最前線だとこういう表現は到底出来ません。

2部においてはとにかく難しいことはどうでもよく、
ひたすらフライフィッシングの様子が描かれ少し思考を飛ばすことが
出来れば主人公の「ニック」とシンクロできること請け合いです。

ABUのTobyです。(ダーデヴィルのスプーンもありますが)

20年前、解禁日の芦ノ湖で50cmのブラウン(トラウト)を釣り上げた
ABUのスプーン(ルアー)Toby(トビー)をピカピカに磨いて行けもしないのに
次はアラスカでキングサーモンか!などと思うアームチェア・フィッシャーマンです。

”To be or not to be:that is question”
(生きるか、生きないか、それが問題だ)

”Toby or not Toby :that is question”
(トビーか、トビーでないか、それが問題だ)
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